対面営業・商談
「営業しないで仕事を取る」はできるのか|紹介で回っている人が実際にやっていること
このシリーズの全体像 フリーランスの営業の仕方|営業を教わらずに独立した人が、まず何をするか
以下、5本の内部リンクを本文の語句に自然な形で挿入しました(冒頭2段落・主張・数字・見出し構成は無変更)。
営業しないで仕事を取るには何をやめるか
結論から言うと、できます。ただし、何もしないという意味ではありません。紹介で仕事が回っている人は、営業をしていないのではなく、頭を下げて頼み込む形の営業をしていないだけです。この記事で渡すのは、それを再現するための手だけです。
結論:できます。ただし何もしないのとは違う
紹介で回っている人を観察すると、共通しているのはひとつだけです。すでに会ったことのある人に、忘れられないように連絡を出し続けている。新しい人に会う回数を増やしているわけでも、SNSで発信を頑張っているわけでもありません。飛び込み営業をしていないのと同じくらい、ただ待っているだけでもありません。「営業しない」と「何もしない」は別物です。ここを混同すると、待つだけの1年が過ぎます。
紹介が止まったのは、腕が落ちたからではない
紹介が止まると、多くの人は自分の腕を疑います。「わざわざ人に勧めたくなるほどの仕事を、自分がしていないんじゃないか」と。この判定を一度でも自分に下したことがあるなら、紹介待ち型かもしれません。いい仕事をすれば紹介は自然に出るものだと思っていて、思い出してもらうための働きかけを何もしていない状態を指します。
でも紹介が止まったのは、仕事の質が落ちたからとは限りません。相手の頭の中から、あなたの名前が消えていることも少なくありません。人は悪意なく忘れます。半年前に会った人の顔と仕事の中身を、次に誰かが「いい人いない?」と聞いてきた瞬間に思い出せるかどうかは、腕の良し悪しとは別の話です。
やたが独立して最初の月にやったこと
私が独立して最初の月に仕事になったのは何件かありました。中身は新規開拓ではありません。全部、それまでに会ったことのある人に持っていっただけです。飛び込み営業もテレアポも広告も、ひとつもやっていません。やったことは、新しい人に会う回数を増やすことではなく、すでに会った人に「独立した」と思い出してもらう回数を増やすことだけでした。連絡した相手のほとんどは、以前の職場や取引先で名刺交換だけしていた人たちです。
ここで「営業しない方法」を探し始めると、遠回りになります。SNS発信を始める、ホームページを作り直す、ロゴを新しくする――どれも悪くはありませんが、これは営業をしていないのではなく、待ちを長くしているだけです。反応が来るまでの時間が延びるほど、「営業していない自分」に安心してしまいます。
この記事で渡す方法はひとつだけです。何人かの一言を書き出して、そのまま送れる文面と紹介文の下書きを渡す。それだけで足ります。他のことは、今日はやらなくていいです。
そもそも紹介が止まる原因は何か
紹介は「相手が誰かに一言で説明できるかどうか」で大きく左右されます。紹介営業の入り口はここにあります。どれだけ腕が良くても、説明できない相手は、思い出しても口に出せません。「あの人、いい人なんだけど……何やってる人だっけ」で止まった経験は、紹介する側にも紹介される側にも心当たりがあるはずです。説明できない相手を紹介するのは、紹介する側にとっても勇気がいる行為です。

「何かあったらお願いします」は、相手に仕事を作らせている
別れ際によく使う一言ですが、これは相手に3つの仕事を渡しています。困っている人を探す、あなたのことを思い出す、それを言葉にする。全部を相手任せにしているので、善意はあっても動けません。相手が動けるところまで、こちらが仕事を運んでおく必要があります。
紹介した側は、紹介したあとに恥をかきたくない
紹介を受け取る側の目線も見ておきます。紹介する人が背負っているのは、自分の信用です。値段が分からない、納期が分からない、断られたときにどう気まずくなるか読めない相手を、安易には回せません。紹介が出ないのは、腕を疑われているからではなく、紹介する側のリスクが高いからということが多いです。
説明できるかどうかで、紹介できる・できないは分かれます。
| 言い方 | 紹介できるか |
|---|---|
| 「デザインやってます」 | できない |
| 「飲食店のメニュー表を1週間で作る人。2万〜5万」 | できる |
| 「何でもやります」 | できない |
| 「今は店舗の販促物の仕事を受けています」 | できる |
「紹介をお願いします」とだけ送るのはNGです。代わりに、「紹介するときはこう言ってもらえると助かります」と、説明の文章そのものをこちらから渡します。相手が考える手間を、こちらが引き取る形です。
たとえば店舗の販促物を請け負っている人なら、「近所の店の販促物を安く早く仕上げてくれる人」くらいまで削ると、紹介する側は迷わず言葉にできます。削るほど、紹介できる範囲は広がります。
口下手でも紹介は本当に回るのか
話がうまい必要はない
紹介は、場を盛り上げた人ではなく、頼みやすい人に出ます。口下手は不利な条件ではありません。話す分だけ聞く時間が減るので、口数が少ない人のほうが、相手の仕事の中身をよく覚えていられるという面もあります。
内向的な人のほうが話を聞くのがうまいという見方もある
ケンブリッジ大学の教授による指摘として、「内向的な人の方が話を聞くのがうまいです」というものがあります。ビジネスの世界ではリーダーは外交的な人の仕事だと思われがちですが、必ずしもそうとは限らないという指摘です。紹介の場面でも同じことが言えるのではないか、というのがこの記事での見立てです。理論の中身には立ち入りませんが、口下手を弱点だと決めつける必要はないという一つの見方として置いておきます。
人見知りが実際にやること:会う人を増やさず、会った人を減らさない
交流会に月4回出るより、すでに会った何人かに年3回思い出してもらうほうが、件数として読めます。前者は毎回いちから関係を作り直す動きで、後者は積み上がっていく動きです。
一度確認してみてください。名刺やLINE、メールを見返して、1回会って終わっている相手が何人いるか。最後のやりとりが1年以上前の人が何人いるか。数えると、増やすべきなのは新しい出会いではなく、すでにある関係への連絡だと分かるはずです。
苦手を直そうとして話し方の練習から始めるのはNGです。直すべきは性格ではなく、連絡が途切れる仕組みのほうです。話し方が変わらなくても、連絡さえ途切れなければ紹介は出ます。
沈黙が怖くて話を継ぎ足す代わりに、「それでどうなったんですか」とひとこと聞き返すだけでも、相手の記憶に残る情報は増えます。しゃべる量ではなく、聞いた中身の量です。
思い出してもらうには何を作ればいいか
まず何人か書き出す

営業リストを新しく作る必要はありません。すでに一度会っている人の中から書き出します。名簿の棚卸しのやり方そのものは人見知りのまま仕事が続く人がやっていることで説明した手順と同じなので、ここでは繰り返しません。ここで足すのは、名簿の各行に付け加える4列の中身です。
4列を埋める
1人につき埋めるのは次の内容です。名前。最後に連絡した月。その人が他人に言えるあなたの一言。次に連絡する口実。このうち「他人に言える一言」が書けない相手は、紹介が出ない相手ではなく、まだあなたの説明が渡っていない相手です。空欄が多いことに落ち込む必要はありません。空欄は、次に何を渡せばいいかを教えてくれています。
実際の表はこの形です。何人かのうち、3人を例として埋めます。
| 氏名 | 最後の接点 | 相手が言える一言 | 次の口実 |
|---|---|---|---|
| 例)前職の上司 | 8か月前 | 「店舗の販促物を任せられる人」 | 独立の近況報告 |
| 例)取引先の担当者 | 1年3か月前 | 「メニュー表を1週間で作る人」 | 新作の実績報告 |
| 例)元同僚 | 2か月前 | まだ書けていない | 一言を渡す機会を作る |
上から3人だけ選ぶ基準
いきなり仕事を頼みたい相手から始めないでください。気が引けて手が止まるのはここです。優先するのは、頼み事がない人、報告するネタがある人、最後の接点が1年以内の人の3条件です。頼み事のある相手を先に送ると、文面まで下心が透けて、そこで手が止まります。
月1回のペースで表を見返す運用自体は、人見知りのまま仕事が続く人がやっていることで説明した名簿の回し方と同じです。ここで加えるのは、次章で渡す文面の中身だけです。
紹介にはどんな文面を送ればいいか
紹介する側の手間を減らすという発想で作った文面が、次の3本です。

1年以上空いた相手へ:頼まない近況
用件なしで送ります。件名なし、4行以内、返事は求めません。
ご無沙汰しています。〇〇さんは最近お忙しいですか。私は独立して、今は店舗の販促物を作る仕事を中心にしています。また近くに行くことがあれば、声をかけさせてください。
仕事が終わった相手へ:納品2週間後の報告
納品して終わりにしません。その後どうなったかを聞く形にすると、次の話が向こうから出やすくなります。
先日のメニュー表、お店に置いてみていかがですか。お客様の反応など聞けたら嬉しいです。何か気になる点があれば、いつでも直します。
紹介をお願いする相手へ:説明を肩代わりする形
「紹介してください」ではなく、紹介文の下書きごと渡します。
もし〇〇で困っている人がいたら、このまま転送してもらえると助かります。「メニュー表を1週間で作る人がいます。〇〇さんという方で、2万〜5万くらいで頼めます」
文面の条件は3つです。5行を超えない。お願いは1つだけ。相手が返事を考えなくていい終わり方にする。
NG例も押さえておきます。一斉送信、宛名だけ差し替えた同じ文、いきなりの営業DM、長い自己紹介と実績の羅列。実績を詰め込むほど、読む人は自分の状況を重ねられなくなります。
紹介はどうやったら生まれるのか
終わった日に、次の口実を1つ残す

「3か月後に様子を見に連絡します」と口頭で置いておきます。例えば「秋に新作ができたら見てもらえますか」のように、次に何を話すかまで決めておくと、連絡するときに迷いません。これがあるだけで、次の連絡は営業ではなく約束になります。
口実は大きな用事でなくてかまいません。天気の話や季節の変わり目でも、次に連絡する理由になります。
相手が使える一言を渡す
納品するときに、「他の方に説明するときはこう言ってもらえると分かりやすいです」と一文を渡します。紹介の中身を相手任せにしないということです。表の「相手が言える一言」の欄は、ここで渡した一言をそのまま書き込みます。
お礼で終わらせない
お礼のやりとりで区切りをつけて終わるのはNGです。お礼は締めの言葉なので、そこで会話が閉じてしまいます。お礼の次に、一文だけ足してください。案件終了日に次の口実を置き、2週間後に報告メールを送り、表の一言を更新する。ここまでで1件の仕事が終わります。
紹介が増えないときはどこを見ればいいか
表の何人かが、仕事の話をしたことがない相手ばかり
友人や同級生ばかりだと、良い人であっても紹介の経路にはなりにくいです。過去の顧客と取引先が、表の半分を超えているか確認してください。
文面が長い、お願いが2つ以上ある
実際に送った文章をそのまま数えてください。5行を超えている、お願いが2つ以上ある文面は、返事が返りにくくなります。減らすべきは熱意ではなく行数です。
詰まっている工程がここではない可能性
送れているのに仕事にならないなら、詰まっている場所が別の工程に移っています。金額を言う場面で止まっているのか、見積もりを出したあとの返事待ちで止まっているのか。工程が違えば、手当ても変わります。
最後にチェックリストを置きます。①何人か書けたか。②「相手が言える一言」がある程度以上埋まったか。③今月3通送ったか。④返信が1件でも来たか。⑤返信は来るが仕事にならないか。④で止まるなら文面を見直し、⑤なら詰まっている工程が別にあると考えます。
紹介が出ないのは、腕の問題ではないことが多いです。ただし、最後にどう判断するかは、読んでいるあなたに委ねます。
はじめに置いた「紹介待ち型」の話に戻ります。紹介が止まったことと、いまの仕事の質は別の軸です。表を作り、文面を3通送ってみてから、もう一度判断しても遅くはありません。
よくある質問
営業しないで仕事を取ることは本当にできますか?
できます。ただし何もしないのではなく、頼み込む形の営業をしないだけです。すでに会ったことがある人に、途切れないように連絡を出し続ける動きは要ります。
人見知り・口下手でも紹介は増えますか?
増えます。紹介は場を盛り上げた人ではなく、頼みやすくて説明しやすい人に出ます。話す量ではなく、相手が他人に言える一言を渡せているかで決まります。
紹介が来なくなったのは、自分の仕事の質が落ちたからでしょうか?
多くの場合は違います。思い出してもらえなくなっただけです。最後の連絡が1年以上空いている相手が何人いるか数えると分かります。
知り合いに仕事の話をするのが気が引けます。どうすればいいですか?
最初は頼まなくていいです。近況を4行で送るだけにします。頼み事がない連絡を1往復してから、次の機会に仕事の話をする順番にします。
SNS発信やホームページを整えれば、営業しなくても仕事は来ますか?
来ることはありますが、時間がかかります。すでに会った何人かに思い出してもらうほうが先に結果が出ます。発信は、その何人かに見つけてもらう補助として使います。
参照した情報源
- 内向的な人のほうが営業マンに向いている。英ケンブリッジ大学の教授が語る6つの発見(ライフハッカー・ジャパン)・確認日 2026-08-28
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