対面営業・商談
名刺交換の正しいやり方|渡す順番・タイミング・NG行動
このシリーズの全体像 対面営業の作法・人脈術 完全ガイド
名刺交換でどちらが先に名刺を出すか。結論は「訪問した側・目下の側が先」です。そして、相手から先に出されてしまったときは、まず両手で受け取り、自分の名刺を渡すときに「申し遅れました」と一言添えれば失礼にはなりません。この記事では、この2つの結論を最初に押さえたうえで、順番の判断基準、渡し方・受け取り方の手順、同時に出してしまったときの作法、やりがちなNG行動、面談中の名刺の扱い方までを順番に整理します。
名刺交換は誰から渡す?順番の基本(訪問側・目下が先)
基本は「訪問した側・目下の側」から渡す
基本的には、訪問した側から渡すのがマナーです。立場で見れば、目下の会社関係者から「目上の会社関係者」に対して名刺を差し出します。
営業で相手先を訪問する場面なら、迷う余地はありません。自分が訪問側であり、時間をいただく側でもあるので、自分から先に名刺を差し出します。「お客様のところへ行ったら自分から」とだけ覚えておけば、大半の場面はこれで足ります。
複数人がいる場面は役職が上の人から順に
複数人が同時にいる場面では、役職の高い方から順に交換を行い、同等の立場の場合は年齢や経験を考慮します。目下の会社関係者どうしでも、役職が上の者から順に名刺交換を行うのが基本です。
上司と同行しているなら、まず上司同士が交換し、自分はそのあとに続きます。「自分が先に割り込まない」とだけ意識しておけば、複数人の場面でも大きく外すことはありません。
迷ったら「訪問→役職→年齢」の順で判断する
「どちらが目下か」の判断軸は、訪問したかどうか、役職、年齢の順で考えると迷いません。まず訪問側か迎える側かを見て、次に役職、それでも同格なら年齢や経験で決める。この一段の整理さえあれば、初対面の場でも判断に迷いません。
初対面の商談では、この数秒のやり取りが「この人は現場を分かっている」という印象を静かに決めます。順番で一瞬でも迷った様子を見せると、それだけで場の空気がぎこちなくなります。逆に迷わず動ければ、そのあとの会話にすっと入っていけます。
なお、この数秒で相手が見ているのは所作だけではありません。服装や持ち物まで含めた第一印象の整え方は対面営業の身だしなみ|第一印象を左右する3つのポイントで扱っています。
名刺交換 順番早見表
| 場面 | 先に渡すのは |
|---|---|
| 1対1・訪問した側と迎えた側 | 訪問した側 |
| 1対1・役職に差がある | 目下の人 |
| 複数人同士 | 役職が上の人から順に |
| 複数人・同格の相手 | 年齢・経験が上の人から順に |
先に出されたときはどうする?|「申し遅れました」で立て直す
まず両手で受け取ることを優先する
本来は自分から出すべき場面で、目上の相手から先に名刺を差し出された。このとき一番よくないのは、慌てて自分の名刺を探しながら、相手の名刺を片手で受け取ってしまうことです。先に出されたら、自分の名刺のことはいったん置いて、まず両手で相手の名刺を受け取ることを優先します。
受け取った名刺を名刺入れの上に置いたら、そのあとで自分の名刺を取り出して渡します。順番が前後すること自体は、実際の現場では珍しいことではありません。大事なのは、受け取りを雑にしないことです。
自分の名刺を渡すときに「申し遅れました」と添える
先に受け取ったあと、自分の名刺を差し出すときには「申し遅れました」と一言添えます。受け取る際の「頂戴いたします」とあわせて、この一言があるだけで、「順番の作法を分かったうえで、今回はたまたま後になった」ということが相手に伝わります。
逆に、何も言わずに自分の名刺だけ渡すと、順番をそもそも気にしていない人という印象が残ることがあります。マナーは完璧に守ることよりも、外れたときに一言で立て直せることのほうが、実務でははるかに重要です。
「先に出される」原因の大半は準備の遅れ
そもそも相手に先に出されてしまう主な原因は、名刺を出すのが遅いことです。訪問先では、受付を済ませた時点で名刺入れをすぐ出せる位置に移しておく。応接室に通されたら、着席する前に名刺入れを手元に用意しておく。この2つを習慣にするだけで、自分から先に差し出せる確率は大きく上がります。
交流会など立食の場でも考え方は同じです。交流会に行く前の準備チェックリストで整理しているとおり、名刺はかばんの奥ではなく、すぐ取り出せる場所に入れておくのが基本です。
渡し方の手順|名乗る→両手→胸の高さ→文字を相手向きに
会社名・部署・名前を名乗ってから差し出す
渡し方にも順序があります。まず会社名と自分の名前を名乗った上で、名刺を差し出します。自分の会社名、部署、名前を名乗ってから渡す、という流れです。交流会の場で何をどう名乗るかは、交流会での自己紹介の作り方|覚えてもらえる15秒スピーチで詳しく解説しています。
両手で持ち、胸の高さで名刺入れの上に浮かせる
名刺は両手で持ち、胸の高さで相手の名刺入れに向かって差し出します。このとき、名刺は自分の名刺入れの上で浮かせた状態のまま保持することが重要です。
文字を相手向きに整え、一続きの流れで覚える
文字は相手が読める向きに整え、軽くお辞儀を添えます。名乗る→両手→胸の高さ→文字を相手向きに、の順で体が動けば、迷わず所作が完成します。
一つひとつは細かい所作ですが、バラバラに覚えようとすると本番で崩れます。「名乗ってから、両手で、胸の高さから」という一続きの流れとして体に入れておけば、緊張する場面でも自然に手が動きます。
渡し方の流れ:名乗ってから両手で、胸の高さ、文字は相手向きに
受け取り方|両手+「頂戴します」+その場で名前確認
両手で受け取り、感謝の一言を添える
受け取り方で外せないのは、両手で受け取ることです。片手で受け取ると大変失礼にあたります。
受け取るときは「頂戴いたします」「ありがとうございます」といった感謝の言葉を添えます。目を見て両手で受け取り、その場で名前を確認します。
名前の読み方が分からなければ、その場で聞く
受け取った名刺の名前が読めないときは、その場で「失礼ですが、何とお読みすればよろしいでしょうか」と確認します。聞くことは失礼にあたりません。むしろ、確認せずに後で名前を読み間違えるほうがはるかに失礼です。読み方を尋ねる一言は、相手の名前をきちんと覚えようとしている姿勢としても伝わります。
受け取った後は胸の高さより下げない
受け取った後は、名刺を胸の高さよりも下に降ろさないよう注意します。受け取った瞬間に気を抜いてしまう人は多いのですが、そこも含めて「受け取り方」です。
同時に差し出すとき|右手で渡し・左手で受け・相手より低く
自分の名刺は右手で、相手の名刺は左手で
名刺交換で誰もが一度は焦るのが、相手と同時に名刺を差し出してしまう場面です。ここにも作法があります。自分の名刺は右手で、相手の名刺は左手で受け取ります。
相手より低い位置から差し出す
高さにも配慮が必要です。相手が差し出した名刺よりも低い位置から自分の名刺を差し出すことがポイントです。相手より少し低い位置で名刺を差し出すことが重要とされています。
受け取った名刺は左手と名刺入れの間に
受け取った名刺は、左手と名刺入れの間に挟んでおきます。同時交換は誰でも一瞬慌てる場面です。だからこそ、右手で渡す・左手で受ける・相手より低く、この3点だけ先に決めておくと、とっさの場面でも迷わず動けます。
同時に差し出すときは、右手で渡し左手で受け、相手より低く
名刺交換のNG行動|机越し・片手・折り曲げ・目の前で書き込み
机越し・片手・折り曲げ・目の前での書き込み
やってしまいがちなNG行動を先に押さえておきます。まず、机越しで名刺を渡したり受け取ったりしてはいけません。立ち上がって相手の正面に立ち、机を挟まない位置で交換します。
会場のつくりによっては、どうしても机を挟んだままになってしまうこともあります。その場合は「机越しで失礼します」と一言添えます。一言あるかないかで、受け取られ方は大きく変わります。
相手の名刺を折り曲げたり、相手の目の前で余白に書き込みをしたりするのも避けるべき行動です。片手で受け取ることも失礼にあたります。名刺へのメモは相手と別れたあとに回すものとして、その記録と仕分けの手順は交流会の帰り道でやること|記録と仕分けの手順で解説しています。
名刺入れの状態も見られている
見落とされがちなのが、名刺入れそのものの状態です。名刺は常にすぐに取り出せる位置に用意しておき、清潔で整理された名刺入れを使用することが基本とされています。すぐ出せない、名刺入れが汚れている、というだけで準備不足の印象がついてしまいます。名刺入れの向きや開き方、机への置き方といった扱いの基本は名刺入れの使い方|向き・開き方・机への置き方で手順ごとに解説しています。
共通するのは「相手を雑に扱うサイン」に見えること
どのNG行動にも共通するのは、「相手を待たせる」「相手を雑に扱っている」というサインに見えてしまう点です。悪気がなくても、所作の乱れは相手に伝わります。
逆に言えば、名刺交換のような小さな所作を丁寧に重ねることが、そのまま信頼の積み上げになります。名刺交換以外の場面については対面営業で信頼を積み上げる7つの小さな行動で整理しています。
名刺交換のよくある質問
名刺を切らしてしまったときは?
「申し訳ございません。あいにく名刺を切らしておりまして」と正直に伝え、口頭で会社名と名前をはっきり名乗ります。相手の名刺は通常どおり両手で頂戴します。その場を取り繕うことよりも、後のフォローで挽回するのが実務的な対応です。当日中にお詫びと自己紹介を兼ねた連絡を入れれば、名刺を渡せなかったことがかえって連絡のきっかけになります。文面の作り方は交流会・会食の後にすぐ送るお礼メールの書き方が参考になります。
相手が名刺を出してくれないときは?
相手が名刺を持っていない、あるいは出す様子がないときは、無理に求めません。自分の名刺だけを通常どおり渡し、「お名前だけ伺ってもよろしいですか」と口頭で確認すれば十分です。立場や職種によっては名刺を持ち歩かない人も普通にいます。相手が出さないことをマナー違反と受け取って表情に出すほうが、よほど関係を損ねます。
受け取った名刺はいつしまえばいい?
面談中は机の上に置いたままにし、しまうのは商談が終わって席を立つタイミングです。「頂戴いたします」と軽く会釈を添えて名刺入れに収めます。相手が先に名刺をしまい始めたら、それに合わせて問題ありません。面談の途中でしまうと、話を切り上げたい合図に見えることがあるため避けます。
交換したあとが本番|面談中の名刺の置き方・並べ方
名刺はしまわず、座っている順に机に並べる
多くの解説記事は「渡し方・受け取り方」で終わりますが、実務で差がつくのはそのあとです。面談中は名刺をしまわず、机の上に置く。相手が複数の場合は座っている順に並べて置きます。
座っている順に並べておけば、名前と顔を一致させながら会話を進められます。この最初の印象は軽くありません。初期印象は相手との心理的な距離感を決定し、関係継続への意欲にも直接的に影響することが知られています。
面談中の扱い方までが「名刺交換」
名刺交換は「渡して終わり」ではなく、面談中の扱い方までが名刺交換だと考えると、次に会うときの関係が変わります。人は、自分を雑に扱わなかった相手を覚えているものです。
並べた名刺を、会話と次の関係につなげる
机に並べた名刺は、その場の会話の素材にもなります。肩書や部署名から相手の役割を確認したり、拠点の所在地から話題を広げたり、名刺に書かれた情報は初対面の会話の入り口として十分に機能します。
そして商談や交流会が終わったあと、受け取った名刺を「連絡先の記録」で終わらせるかどうかで、その出会いの価値は大きく変わります。名刺交換をきっかけに関係を続けていく具体的な方法は、交流会で名刺交換だけで終わらせない次への繋げ方で詳しく解説しています。
名刺交換 所作チェックリスト
- 渡す前:名刺はすぐ取り出せる位置に。清潔な名刺入れを使う
- 渡す:社名・部署・名前を名乗り、両手で胸の高さから、文字を相手向きに差し出す
- 受け取る:両手で受け取り、「頂戴いたします」と一言添えて名前を確認する
- 面談中:名刺はしまわず机の上に置き、複数人なら座っている順に並べる
対面営業の作法・人脈術では、交流会での立ち回りや会食の席次まで含めて、対面で信頼を織り込むための所作を整理しています。名刺交換の先の場面でも、あわせて押さえておくと迷いません。
よくある質問
名刺交換はどちらが先に渡す?
訪問した側・立場が下の人から先です。複数人なら役職が上の人から順に交換します。
相手と同時に名刺を出してしまったときは?
自分の名刺を右手で渡し、相手の名刺を左手で受け取ります。自分は相手より少し低い位置から差し出します。
受け取った名刺はすぐしまっていい?
面談中は机の上に置いておきます。相手が複数なら座っている順に並べます。
参照した情報源
- 名刺交換のマナーを徹底解説!基本の渡し方・受け取り方やNGを解説(三菱UFJニコス(三菱UFJカード))・確認日 2026-07-05
- 名刺交換のビジネスマナー 基本と順番・信頼への影響・場面別チェック・定着のポイント(株式会社リクルートマネジメントソリューションズ)・確認日 2026-07-05
- 名刺交換のマナー|訪問・来客時のマナー|ビジネスマナー|マナー事典(NPO法人日本サービスマナー協会)・確認日 2026-07-05
- 名刺の渡し方、受け取り方【社会人の基本】(弥報Online(弥生株式会社))・確認日 2026-07-05
- 【ビジネスマナー】名刺交換はどちらが先?基本を押さえて好印象を獲得(日新堂印刷株式会社)・確認日 2026-07-05
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