対面営業・商談

交流会で主催者を味方につける|紹介してもらう頼み方

交流会で主催者を味方につける|紹介してもらう頼み方のイメージイラスト

このシリーズの全体像 対面営業の作法・人脈術 完全ガイド

「紹介してください」が言えないのは、図々しいからではない

帰り際、名刺は増えたのに何も起きない

交流会が終わって、主催者に「今日はありがとうございました」と言って会場を出る。名刺は10枚増えた。でも翌週、何も起きない。増えた名刺の枚数と、次につながった件数は別物だと分かっていても、その場で紹介を頼む一言が出てこない。次の交流会でも、同じことを繰り返す。名刺は増える。紹介は増えない。

頼めないのは、図々しいからではない

「紹介してください」と言えないのは、遠慮深いからでも、図々しく思われたくないからでもありません。まだ仕事をしたことのない相手なら、なおさらです。頼んだ瞬間、対等じゃなくなる気がして、自分が「仕事がなくて困っている人」として扱われる気がして、口が止まってしまう人が多いようです。実力の話ではなく、頼み方の順番を知らないだけかもしれません。

渡していい許可はひとつです。頼まなくていい。誰を探しているかを伝えるだけでいい。頼む/頼まないの二択で考えているうちは、動けなくて当然です。

主催者側は、実は逆の悩みを抱えています。BNI Japanのブログでは、交流会を終了する際に参加者の紹介とくじ引きの賞品贈呈に10分程度を割き当て、参加者一人ひとりに声を掛け、この場がネットワーキングのためのものであることをあらためて伝えることが運営のコツとして挙げられています。つなぐことは、最初から主催者の仕事に入っています。だから、この記事で渡す方法は1つだけです。「紹介してください」ではなく、探している相手を1行で渡すこと。

主催者が紹介できないのは、あなたを覚えていないからではなく、紹介する言葉がないから

主催者の頭の中は「困りごと」で並んでいる

NGとOKの頼み方の比較。誰に何をと言い切ると主催者が話せる

主催者の頭の中は、肩書きではなく困りごとで整理されています。「Web制作の人」は在庫として置けません。でも「ホームページの更新を総務の人が片手間でやっている会社を探している人」なら、主催者は誰かと会ったときに思い出せます。

NG例:「何かあれば」は紹介できない言葉

「Web制作をやっています。何かあればよろしくお願いします」――この言葉を、主催者は第三者の前で再生できません。「何かあれば」は、主催者にとって使い道のない言葉です。

OK例:誰に・どんな形でを言い切る

「ホームページの更新を総務の方が片手間でやっている会社を探しています」。誰に、どんな形で紹介してほしいかを言い切ると、主催者はその場で他人に話せる言葉を手に入れます。「~でお悩みの方がいらっしゃいましたらご紹介いただけますか」とターゲットを指定した依頼のほうが通りやすいというのは、紹介営業一般の定石です。「だれに」「どんな形で」紹介してほしいのかを明確に伝えることで、紹介の成功率を上げられます。

交流会の主催者相手でも同じです。指定しない依頼は、探す作業ごと主催者の宿題になります。

同じことは、士業やカメラマンでも起きます。「行政書士をやっています」ではなく「相続の手続きで、何から手をつけていいか分からない状態の家族を探しています」。「写真を撮っています」ではなく「毎年恒例のイベント写真を、社員の誰かが片手間で撮っている会社を探しています」。業種名を主語にすると紹介文にならず、探している相手を主語にすると紹介文になります。

東京商工会議所のビジネス交流会では、参加企業紹介は各社30秒とされています。主催者が誰かに口で伝える紹介文も、それと同じ長さに収まっていなければ使われません。

判断基準はひとつです。自分の紹介文を、他人が自分の言葉で言い直せるか。言い直せない紹介文は、どれだけ丁寧でも届きません。

主催者と話せる時間は当日3回しかない

交流会の当日、主催者と話せるタイミングは実質3回だけです。それぞれで役割が違います。

開始前・自己紹介30秒・終了後の3回を示す当日の時間軸図

開始前――いちばん人手を欲しがっている時間

BNI Japanのブログでは、会場に到着したゲストを迎える「ビジター・ホスト」を任命し、名札を全員分用意して名前を書いてもらう運用が運営のコツとして挙げられています。30分早く着いて受付や名札書きを手伝うと、主催者の記憶に「手伝ってくれた人」として残ります。頼み事をする前に、まず手を動かす時間です。

このタイミングで交わす言葉は、依頼ではなく雑談で十分です。「今日は何人くらい来られるんですか」「前回はどんな業種の方が多かったんですか」――主催者の側の話を聞く時間にあてます。ここで探している相手の話をする必要はありません。信用は、頼む前の10分に積み上がります。

自己紹介の30秒――参加者向けではなく主催者向けのプレゼン

自己紹介の30秒は、参加者に聞かせるためではなく、主催者に聞かせるためのものだと考えます。東京商工会議所のビジネス交流会でも参加企業紹介は各社30秒です。業種名の説明に15秒使うと、探している相手を言う時間がなくなります。配分の目安は、自分の仕事10秒、探している相手15秒、名前と一言5秒です。

終了後――渡すのは依頼ではなく具体名

BNI Japanのブログでは、閉会時に参加者一人ひとりへ軽く声を掛けることが主催者向けの運営のコツとして挙げられています。声を掛けてもらえた場面で渡すのは依頼ではなく具体名です。「今日の◯◯さんの話が近かったので、もう一度話したいです」と言えば、主催者は次に会う口実を作る側に回れます。

声掛けは主催者にとって場を成立させる仕事の一環です。その最中を長話でつかまえるのはNGで、奪った時間は次回の記憶をマイナスにします。3回すべてで違うことを言う必要はありません。探している相手の1行を、同じ言葉で3回置くだけで十分です。言葉を変えるたびに、主催者の記憶の中であなたの輪郭がぼやけます。同じ1行を繰り返すほうが、覚えてもらいやすくなります。

主催者に渡す「紹介カード」――1枚に書く5項目

ここまでの話を、当日そのまま使える形に落とします。名刺の裏でもメモ用紙でもいい、5項目を書いたカードです。

紹介カードに書く5項目を1枚のカードの形で示した構造図

項目書く内容NG例
①探している相手業種・規模・役割まで「経営者の方」
②その人がいま困っていること相手の言葉で書く「DX推進のご支援」
③自分ができること一文だけ実績の列挙
④紹介されたあと何をするか相手の手間を取らせない一言書かない(何もしないと思われる)
⑤結果の報告方法いつまでに、どう返すか書かない(放置される前提に見える)

①は「社員10〜30人の建設会社で、社長が見積も現場も見ている会社」のように、規模と役割まで書きます。②は「見積を出したあと、返事待ちで2週間止まる」のように相手の言葉で書きます。③は一文だけにします。実績を足すほど、読む人は自分を重ねる場面を失います。④は「先方の手間は取らせません。日程はこちらから3案出します」――主催者が心配しているのは、紹介した相手に迷惑がかかることだけです。⑤は「会えても会えなくても、2週間以内にご報告します」。ここまで書いてあるカードは、主催者にとって使いやすいカードです。

誰に、どんな形で紹介してほしいかを明確に伝えるほど紹介は通ります。この5項目は、その考え方を当日使える形に分解しただけです。渡すのは当日でなく、後日メールでも構いません。

記入例を1つ挙げます。①社員10〜30人の製造業で、注文書と見積書を社長が自分でExcel管理している会社。②月末になると集計に半日かかっていて、本人はそれが当たり前だと思っている。③受発注管理の仕組み化を、月1回の訪問で伴走します。④初回のご相談は先方の資料を持ち出さない形にします。⑤ご紹介いただいた翌週には、進んだか進まなかったかをご報告します。――このくらいの解像度まで書くと、主催者は誰かと雑談しているときに、そのまま言葉を借りて話せます。

頼むときの一言と、翌日に送る一文

その場の一言:言い切らない

「ご紹介ください」と言い切らない形にします。「もし◯◯で止まっている会社の話が出たら、思い出してもらえたら嬉しいです」――断る余地を残すと、頼まれた側は身構えません。初参加なら、さらに軽くしていいです。「今日はまだご挨拶だけなので、また今度お話しさせてください」で十分で、探している相手の話は自己紹介の30秒と閉会時の一言に任せます。

メールの言い回し:「ください」を外す

「お送りください」は丁寧に見えて、やや一方的に響くことがあります。命令のようなニュアンスを排除するには、「お送りいただければ幸いです」としたほうがよいとされています。目上の人には、より丁寧に「幸いに存じます」「幸甚に存じます」と書くのが一般的です。「ご紹介ください」を「ご紹介いただければ幸いです」に置き換えるだけで角が取れます。これは依頼メール一般のマナーであり、交流会に限った作法ではない点は踏まえておいてください。

翌日メールの型(4行)

  1. 昨日のお礼と、主催者本人の言動への具体的な一言
  2. 自分の仕事を一文
  3. 探している相手を一行
  4. 「思い当たる方がいなければ、そのままで大丈夫です」の逃げ道

NG文面は「どなたかご紹介いただけませんか」「人脈をご紹介ください」です。探す作業を丸ごと相手に渡す言葉になっています。参加者名簿や連絡先を主催者に求めるのもNGです。これは紹介の依頼ではなく、場のルールを壊す依頼になります。

主催者が距離を取る瞬間――味方をなくす頼み方3つ

①主催者を営業先にする。紹介の相談のつもりで、自社サービスの売り込みを始めてしまう動きです。主催者は場の管理者であって、見込み客ではありません。

②参加者全員に同じ売り込みをする。主催者は当日の空気を見ています。その場で嫌がられた人を、主催者は誰にもつなぎません。

③会費や参加を値切る、毎回無料枠だけ狙う。東京商工会議所のビジネス交流会は会員5,500円、非会員33,000円です(いずれも税込)。この差が出るのは、場を支えている人と、場を使うだけの人を運営が分けているからだと考えられます。常連側に回ることそのものが、いちばん静かな「味方につけ方」かもしれません。

判断基準はひとつです。自分の行動が、主催者の次回の集客を楽にしているか、重くしているか。この一問で3つとも判定できます。

補足しておくと、見下される言い方をされたら距離を取っていい場面もあります。頼む側だからといって、何を言われても受け入れる必要はありません。味方につけるというのは、機嫌を取ることではなく、相手の仕事を理解して手間を増やさないことです。

紹介は一度きりで終わらせない――「つないでよかった」を返す

報告は成果が出たときだけではない

紹介と報告の往復が次の紹介につながる循環を示した図

会えなかった、仕事にならなかった――その報告も、成果が出たときと同じ速さで返します。悪い結果を返した人にだけ、2回目の紹介が回ってきます。「お会いできました。今回はタイミングが合わず見送りになりましたが、お話が聞けて助かりました」の一文だけで足ります。黙って終わらせるのが、いちばん静かに次を失うやり方です。

先に渡す側に回る

BNI Japanは、メンバーがコアバリューである「GiversGain®」を通じて長期的な関係を構築するリファーラル組織として運営されています。次回のゲストを1人連れて行く、主催者が探している人を自分の名簿から出す――順番を逆にするだけで、頼む場面そのものが減ります。

仕組みとして回る場は実在する

紹介が個人の人柄や運の話で終わらない場は、実際にあります。BNI Japanは2025年7月から2026年7月の日本国内の実績として、399チャプター、13,048人超のメンバー、115万件超のリファーラル、約1,448億円超の売上額を公表しています。これは、報告と返礼の往復が積み上がった結果として動いている数字だと見ることができます。

今日やることは1つです。直近に参加した交流会の主催者に、探している相手を1行だけ添えたお礼を送ってください。頼み事の形にしないことが、次につながる一番の近道です。

対面で信頼を積み上げていく順番については、対面営業の作法で全体像を扱っています。ここでは主催者1人との関係に絞って書きました。

よくある質問

交流会の主催者に「紹介してください」と頼むのは失礼ですか?

依頼の中身によります。探す作業を丸投げする「どなたかご紹介ください」は相手の宿題になるので通りません。業種・規模・困りごとまで指定した1行にして、「思い当たる方がいなければそのままで大丈夫です」と逃げ道を添えれば、断る負担も消えます。表現も「ご紹介ください」より「ご紹介いただければ幸いです」の方が一方的に響きません。

初参加でいきなり主催者に紹介をお願いしてもいいですか?

初回は依頼ではなく情報だけ渡します。自己紹介の30秒で「探している相手」を言い、閉会時の挨拶で同じ一行を繰り返します。閉会時に参加者へ声を掛けることは主催者向けの運営のコツとしても挙げられており、そこが自然な接点になりやすい場面です。頼むのは、2回目以降か、こちらが先に誰かを紹介したあとでいいです。

紹介してもらったら、主催者にお礼(謝礼)は必要ですか?

場によってルールが違うので、まず主催者に「お礼の形として何が助かりますか」と聞くのが早いです。金銭のやりとりは業種や契約によって扱いが変わるため、個別の判断は専門家に相談してください。金銭以外では、結果の報告と、次回のゲストを1人連れて行くことがいちばん喜ばれます。

紹介してもらったのに仕事にならなかったとき、主催者に何と報告すればいいですか?

成果が出たときと同じ速さで、事実だけ返します。「お会いできました。今回はタイミングが合わず見送りになりましたが、◯◯の話が聞けて助かりました」で十分です。うまくいかなかった報告を返した人にだけ2回目が回ります。黙って終わらせるのが一番、次を失います。

何回くらい参加すれば紹介してもらえますか?

回数ではなく、主催者の仕事を軽くしたかどうかで決まります。受付や名札の準備を手伝う、次回のゲストを連れて行く、主催者が探している人を自分の側から出す――この往復が積み上がった場では紹介が仕組みとして動きます(BNI日本は2025年7月〜2026年7月で115万件超のリファーラルを公表しています)。参加回数だけを増やしても順番は来ません。

参照した情報源

  1. ビジネス交流会(東京商工会議所)・確認日 2026-08-10
  2. BNI Japan | Japanese(BNI Japan)・確認日 2026-08-10
  3. ビジネス交流会を成功させるコツ(BNI Japan Blog)・確認日 2026-08-10
  4. 【保存版】礼儀正しい依頼・お願いメールの書き方と文例10選(メールワイズ式 お役立ちコラム(サイボウズ株式会社))・確認日 2026-08-10
  5. 紹介営業とは?方法や流れ、紹介してもらうコツを紹介(配配メール Bridge(株式会社ラクス))・確認日 2026-08-10

本記事は、当編集部の制作基準——出典との照合・表現・重複の多段検証——を通過したものだけを公開しています(下書きにはAIを活用)。 仕組みの詳細は編集プロセスの開示をご覧ください。

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