対面営業・商談
SNSでつながるときの申請とひとことメッセージ
このシリーズの全体像 対面営業の作法・人脈術 完全ガイド
名刺交換のあとのSNS申請は、その日のうちに送っていい
名刺交換をしたその日、SNSの申請ボタンの上で指が止まったことはありませんか。まだ一度も仕事をしていない相手だから、こちらから動くのが気まずい——その感覚が、指を止めているだけかもしれません。申請をためらうのは、失礼だからではありません。申請を送った瞬間、こっちが仕事をほしがっている側になる気がする——そう感じるからだと思います。
でも、仕事関係者とSNSでつながっている人は67.8%います。これは特別な行為ではなく、すでに日常の範囲に入っている習慣です。あなたが送ろうとしている申請も、その67.8%の中の1件にすぎません。
申請=営業ではない
申請には、頼みごとを一切書きません。名前と顔を、相手の画面に残すだけの作業です。承認するかどうかは相手が決めることで、こちらが決められるのは「送るか送らないか」だけです。頼みごとが乗っていない申請は、相手にとって処理コストが低いものです。見て、押すか、放置するか。それだけで終わります。
結論:送るタイミング
結論から言うと、名刺交換・交流会の当日中から翌日午前に送ってかまいません。マナー違反にはあたりません。ただし、「ひとこと」を添えられる場所はSNSごとに違います。この違いを知らずに「ひとことを添えましょう」とだけ言われても、実際にはどこにも書く欄がないSNSのほうが多いのです。この点は次の章で分解します。
「名刺交換の後、Facebookで申請してもいいのか」「交流会で会った人とSNSでつながるタイミングはいつか」という疑問に対する答えは、この一文に尽きます。時間をおくほど良くなるものではなく、むしろ記憶が鮮明なうちのほうが、あとで触れる4部品の中身が濃くなります。
この記事で決めること
この記事で決めるのは3つだけです。①どのSNSで送るか ②ひとことをどこに置くか ③何を書かないか。この3つが決まれば、あとは名刺を見ながら手を動かすだけです。
名刺交換をした日にやることは、SNS申請だけではありません。名刺の受け渡しから会話の締め方までを含めた一日の流れは、対面営業の作法にまとめています。ここでは、そのうちの一つの作業——SNSでつながる申請——だけを切り出して考えます。
申請が通らないのは、嫌われたからではない
申請を送って、数日たっても承認されない。これで落ち込む必要はありません。ある調査では、調査対象者全員が、一度は仕事関係者からのSNSのフォロー申請を無視したことがあると回答しています。無視すること自体が、ごく普通に起きています。

しかも、無視・拒否した仕事関係者の内訳を見ると、1位は「顧客」で59.4%、2位は「協力会社」で45.7%、3位は「同期」で13.3%です。一番無視されているのは、関係の薄い相手ではなく、取引相手なのです。あなたの申請が通らなかったとしても、それはむしろ普通の反応に近いということになります。
無視は拒絶ではなく仕分け
承認されないのは、あなたという人物への評価ではありません。相手が引いている、仕事用とプライベート用の線に、たまたま申請が触れただけです。無視・拒否された相手の1位が顧客(59.4%)であることからも分かるように、線に当たること自体は珍しくありません。
返事がないときにやらないこと
承認されないと、つい追いかけたくなります。次の3つはやらないでください。
- 数日後にもう一度申請を送り直す
- 別のSNSからも申請する
- DMで「申請しました」と追いかける
3つとも、相手が引いた仕分けの線を覆すものではありません。むしろ、線を越えてくる相手として記憶される分、逆効果になります。
通らなかった相手への代替ルート
SNSがうまくいかなくても、接点が消えたわけではありません。メールは、最初から仕事用の経路として使われているものです。名刺交換をした相手なら、メールアドレスはすでに手元にあります。SNSで無視されたことを気にするより、次に会ったときの話題や、メールでの一報のほうに時間を使うほうが建設的です。
SNSがつながっている・いないは、相手との関係の深さを示す指標ではありません。SNSでつながっていなくても、メールで見積もりのやりとりを続けている相手はいくらでもいます。逆に、SNSでつながっているだけで実際の仕事の話が一度も進んでいない相手もいます。
この章の結論は一つです。承認率を上げにいくのではなく、承認されなくても関係が続く形にしておくこと。SNSは接点の一つであって、唯一の接点ではありません。
ひとことを添えられるSNSは、実はほとんどない
「申請にひとことを添えましょう」と書く記事は多くあります。でも、添える欄が実際に存在するSNSは限られています。ここを知らずに「ひとことを書かなきゃ」と身構えるほうが、申請そのものを遠ざける原因になります。

Facebookの友達申請にメッセージ欄はない
Facebookの公式手順はこうです。検索バーに友達の名前を入力して検索し、見つけた相手のプロフィール写真の横にある【友達を追加】をクリックする。この手順に、文章を添える欄は出てきません。ボタンを押すだけの操作です。ひとことを書きたいなら、申請とは別に、DMかメールで送る必要があります。
LinkedInには枠があるが月3件まで
LinkedInには、パーソナライズしたメッセージを添えられる枠があります。ただし、毎月送信する接続要求のうち最大3つ、それぞれ200文字までという制限つきです。LinkedIn Premiumプランでは、この数の制限がありません。無料プランで使うなら、誰に対してこの3枠を使うかを、送る前に決めておく必要があります。全員には使えません。
XとInstagramはフォローだけ
XとInstagramには、申請やフォローにひとことを添える機能自体がありません。ひとことを送りたい相手がこの2つを主に使っているなら、フォローとは別に、DMか当日のメールに置くしかありません。
SNS別・ひとこと欄の有無
| SNS | ひとこと欄の有無 | 置き場所 | 字数の目安 |
|---|---|---|---|
| なし | DMまたは当日のメール | 決まりなし | |
| あり(無料は月3件まで) | 申請メッセージ欄 | 200文字まで | |
| X | なし | DM | 決まりなし |
| なし | DM | 決まりなし |
仕様は変わります。この表を鵜呑みにせず、送る直前に自分の画面で欄の有無を確認してください。
ひとことメッセージは4つの部品でできている
ひとことを置ける場所が決まったら、中身を組み立てます。使う部品は4つだけです。

- どこで会ったか(会の名前と日付を具体的に)
- 相手が話していたことを1つだけ
- 自分が何をしている人か、一言
- 頼みごとを入れない締め
この順番で並べます。
200字に収める型
LinkedInの枠が200文字なので、この長さを標準にしておくと、どのSNSでも使い回せます。書き出し1文、相手の話1文、自分1文、締め1文。合計4文です。
そのまま使える文例を3つ
①交流会で名刺交換しただけの相手 「◯月◯日の交流会では、名刺交換ありがとうございました。会の後半でお話しされていた〇〇のお話、印象に残っています。私は普段、〇〇の仕事をしています。またどこかでお話しできたら嬉しいです。」 初対面でも、会の名前と相手の発言を1つ入れるだけで、大量に送っている定型文と区別がつきます。
②紹介で会った相手 「先日は◯◯さんのご紹介で、貴重なお時間をいただきありがとうございました。お話の中にあった〇〇の件、興味深く伺いました。私は〇〇の仕事をしています。今後ともよろしくお願いします。」 紹介者の名前を一言入れておくと、紹介の流れの中でつながったことが相手にも伝わります。
③相手が一方的に話し手だった場(登壇者・主催者) 「本日は貴重なお話をありがとうございました。特に〇〇の部分が印象に残っています。私は普段、〇〇の仕事をしています。またお話を伺えたら嬉しいです。」 登壇者は同じ内容の申請を何件も受け取っています。話の中身のどこに反応したかを1点に絞ることで、その他大勢から抜け出せます。
送ってはいけない文面
次の3つは避けてください。
- 「ぜひ一度お茶でも」
- 「弊社のサービスをご案内させてください」
- 「今後ともよろしくお願いいたします」だけの定型文
1つ目と2つ目は要求です。まだ仕事をしたことのない相手に、いきなり時間か商談を求めています。3つ目は誰にでも送れる文で、相手の記憶に何も残りません。
部品②が一番効きます。相手が話していた具体を1つ入れるだけで、この人は自分の話を聞いていたと伝わるからです。ここが書けないなら、それは会話の量ではなく、聞く順番の問題です。字数が足りないときは③を削ってください。自分の説明は後日でも足せますが、②は時間が経つと書けなくなります。
その日のうちに送る手順(名刺を見ながらやる3ステップ)
ステップ1 名刺の表記を確認する

もらった名刺の会社名・氏名・肩書きを、声に出さず1回読みます。受け取った名刺の内容を正確に把握し、後日の連絡や資料送付時の宛名ミスを防ぐことは、社会人としての基本的な配慮とされています。これはSNS申請でも同じです。表記を間違えたまま送ると、最初の印象が名前の間違いになります。
ステップ2 同姓同名の別人ではないか照合する
名前で検索し、会社名・肩書き・顔写真の3点が名刺と一致するか確認してから申請します。Facebookなら、検索バーに名前を入力して検索し、【友達を追加】をクリックする手順です。同姓同名の別人に送ってしまう事故は、この照合でしか防げません。
ステップ3 ひとことを置く場所を1つ選ぶ
前章の表で決めた置き場所(申請枠・DM・当日のメール)に、4部品の文を送ります。
その場でスマホを出さない
名刺交換のマナーでは、面談中は机の上に置くとされています。目の前でスマホを取り出して検索を始めるのは、名刺を片付けて相手の話を中断する動きになります。SNS申請は、会が終わってからで十分です。
当日中か翌日午前まで
遅れるほど、部品②(相手が話していたこと)が記憶から薄れます。書けなくなった時点で、その申請は定型文に変わります。当日中か、遅くとも翌日の午前中に送ってください。
送る前の3つの確認
- 別人ではないか
- 頼みごとが入っていないか
- 自分の直近の投稿を、相手が見ても困らないか
この3行だけ、送信ボタンの前に見直してください。
つながった直後の1週間にやらないこと
承認された直後がいちばん事故が起きやすいタイミングです。相手はまだ、「仕事の知り合い」の枠にこちらを入れたばかりです。
招待・タグ付け・DM営業を送らない
次の4つは、つながった直後にはやらないでください。
- グループへの招待
- イベントの招待
- 写真へのタグ付け
- いきなりの商品案内
仕事の相手とはSNSを分けておきたいと考える人は少なくありません。この4つは、相手が引いた線を踏み越える動きに見えます。
最初の1週間は読むだけでいい
相手の投稿を読み、仕事の内容・関心・忙しさの波を把握してください。次に会うときの下調べは、これで終わります。反応するとしても、投稿への「いいね」1つで十分です。コメントも、まだ必要ありません。
見られる側になったことを忘れない
つながった瞬間から、あなたの投稿も相手の目に入るようになります。愚痴、案件の内輪話、受注の自慢は、名刺よりも強く人物像を決めます。つながる前から投稿していた内容も、相手はさかのぼって見ることができます。
名刺交換の場では、丁寧な言葉と姿勢だけを相手に見せていたはずです。SNSでつながった瞬間、その範囲が過去の投稿にまで広がります。プロフィール写真や普段の投稿を、つながる前に一度見直しておくと安心です。
次の一手は、「頼まない連絡」で十分です。近況や、相手に役立つ情報を1つ送るだけ。頼みごとを入れないうちは、関係は減りません。
つながる作業は、売り込みではありません。用件を作らず、近況にひとこと触れるだけで関係は保てます。
冒頭で決めると言った3つを、もう一度置いておきます。①どのSNSで送るか、②ひとことをどこに置くか、③何を書かないか。この3つさえ決まっていれば、名刺交換のあとにやることは迷いません。申請ボタンを押す前に確認する項目は、感覚ではなく、この記事の中にすべて書いてあります。
よくある質問
名刺交換した相手にFacebookの友達申請を送るのは失礼ですか
失礼ではありません。仕事関係者とSNSでつながっている人は67.8%います。ただし承認されないことも普通で、調査対象者全員が仕事関係者からの申請を無視した経験があります。断られる前提で送るのが現実的です。
友達申請にひとことメッセージは添えられますか
SNSによります。Facebookの友達追加は検索して【友達を追加】を押す操作だけでメッセージ欄がありません。LinkedInは毎月3件まで各200文字まで添えられ、Premiumプランでは制限がありません。X・Instagramには機能自体がないので、ひとことは別の場所(DMや当日のメール)に置きます。
交流会で会った人とは、どのSNSでつながるのがいいですか
相手が仕事で使っているSNSに合わせます。仕事用とプライベート用でSNSを使い分けたい人は少なくないため、私生活寄りに使われているSNSは、相手から誘われるまで待つほうが安全です。
申請したのに承認されません。もう一度送るべきですか
送り直さないでください。無視は珍しくなく、無視・拒否された相手の1位は顧客(59.4%)です。人物評価ではなく使い分けの線に当たっただけなので、メールなど仕事用の経路に切り替えます。
SNS申請はいつ送るのが正解ですか
当日中から翌日午前が目安です。遅れるほど「相手が話していたこと」を書けなくなり、定型文になります。ただしその場でスマホを出して検索するのは避けます(面談中の名刺は机の上に置くのが基本)。
参照した情報源
- つながりリクエストをカスタマイズする | LinkedInヘルプ(LinkedIn Corporation(公式ヘルプ))・確認日 2026-08-15
- 「ビジネスにおけるSNS利用に関する意識調査2017」を実施 – 81.9%の人が「仕事とプライベートでSNSを分けたい」(Sansan株式会社)・確認日 2026-08-15
- 名刺交換のマナー|訪問・来客時のマナー|ビジネスマナー|マナー事典(NPO法人日本サービスマナー協会)・確認日 2026-08-15
- 名刺交換のビジネスマナー 基本と順番・信頼への影響・場面別チェック・定着のポイント(株式会社リクルートマネジメントソリューションズ)・確認日 2026-08-15
- Facebookで友達を見つけて追加する | Facebookヘルプセンター(Meta Platforms, Inc.(Facebook公式ヘルプ))・確認日 2026-08-15
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