対面営業・商談

2回目に会うときの場所の決め方

2回目に会うときの場所の決め方のイメージイラスト

このシリーズの全体像 対面営業の作法・人脈術 完全ガイド

「また会いたい」が出せないのは押しの弱さではなく、場所が空欄だから

名刺交換から2週間、いい話ができたのに連絡が出せていない

1回目の面談はよかった。相手も前のめりで話してくれたし、宿題ももらった。なのに、あれから2週間、まだ次のアポを送れていない——という状態、心当たりがあるかもしれません。

下書きを書いては消す。「先日はありがとうございました」まで打って、その後の一文が出てこない。1回目で盛り上がった相手ほど、次の連絡は軽くならず、むしろ重くなります。「変な誘い方をして、あの温度を下げたくない」という気持ちが、逆に手を止めます。

気づけば1回目の会話をスマホで読み返すだけの夜が何日か続き、送信ボタンを押さないまま日付だけが変わっていく——という人もいるかもしれません。文面を直すこと自体は悪くありませんが、直しているのは言葉であって、送れない理由は言葉の外にあります。

文面を練るほど出せなくなる

「切り出せない型」に近いかもしれません。まだ仕事をしたことのない相手に、仕事の話を切り出せない型です。頼んだ瞬間、対等じゃなくなる気がして止まる型で、もう一度会いたいと言った時点で、こっちが仕事を欲しがっている側になってしまう感覚があるのだと思います。

これは押しが弱いからではありません。誘い文句を先に考えて、場所と時間を後回しにしているからです。文面をきれいにしようとするほど、逆に送れなくなります。言葉を選んでいるあいだ、場所も時間も決まっていないからです。

場所を先に決めると、誘いは「お願い」ではなく「確認」になる

頼まずに、決めたことを伝えるだけでもいいはずです。

NG例が「近々お茶でもいかがですか」。これは日時も場所も所要時間も、全部相手に決めさせる文面です。相手は「いつがいいか」「どこがいいか」「何分空ければいいか」を全部考えてから返事をすることになり、その分だけ後回しにされます。

今日やれる最小行動はひとつだけです。相手に送る前に、場所と所要時間を自分の中で先に1つ決める。これだけで、次に送る文面は「お願いします」ではなく「〇〇でいかがでしょうか」という確認の形になります。

場所と時間の決め方、名刺交換の作法まで含めた対面での営業の基本は対面営業の作法にまとめています。


2回目の場所は3つで足りる——カフェ・相手の会社・貸し会議室の選び分け

判断は4つの物差しで決まる

2回目の場所選びに迷う人ほど、選択肢を増やそうとします。実際は3つで足ります。カフェ、相手の会社、貸し会議室。どれを選ぶかは、次の4つの物差しで決まります。

場所話す中身の機密度人数資料の量向く場面
カフェ低い(金額の内訳や社内事情は出ない)1対1少ないまだ具体的な条件の話に入らない日
相手の会社中〜高相手側が増える可能性あり中〜多い相手の担当者が複数出てくる日
貸し会議室高い(金額・社内情報が出る)どちらでもよい多い条件を詰める日、社内で話しづらい事情がある日

もう1つの物差しは移動距離です。相手にどこまで動いてもらうかは、こちらの都合ではなく相手の負担で考えます。

この表を使うタイミングは、誘いの文面を書く前です。話す中身が決まっていないうちに場所だけ先に決めてしまうと、当日「この場所では話しにくい」と気づいて段取りが崩れます。順番は、今日話す中身を決める→表に当てはめる→場所を決める、です。

カフェ=相手の負担が一番軽い日に

資料が少なく、まだ金額や条件の話に入らない段階なら、カフェで十分です。相手にとっても、社外の商談より気が軽く、移動の負担も小さくて済みます。

ただし注意点があります。不特定多数の人が出入りする場所は、話している内容を誰が聞いているか分からず、情報漏洩のリスクが高くなります。1回目の延長で近況を交換する程度ならいいですが、社名や金額が出そうな日はカフェを避ける判断が要ります。

相手の会社=相手の人数が増える日に/貸し会議室=金額と社内情報を出す日に

相手側の担当者が増える、上司が同席する、という日は相手の会社に伺うのが自然です。会議室も相手側で用意してもらえます。

金額の内訳や社内の事情に踏み込む日、あるいは相手の会社では話しづらい事情がある日は、貸し会議室が向きます。貸し会議室はセキュリティが高く、防音性にも優れているため、機密性の高い情報を扱う商談でも安心して使えます。アクセスしやすい立地の貸し会議室を選べば、双方の移動負担を軽減でき、スムーズな進行にもつながります。

NG例は、金額の内訳を初めて開く日に、隣の席との距離が近いカフェを選んでしまうことです。話の中身と場所が合っていないと、相手も落ち着いて聞けません。


誘いの1通は4点だけ——日時・場所・所要時間・用件

4点をこの順で書く

訪問のアポ取りでは「〇月〇日〇曜日〇時に〇〇の件で、上司の〇〇と私の2名で御社にお伺いいたします」のように、日時・用件・人数まで入れて了解を取るのが基本形です。訪問の目的と必要な時間を伝えて、了解を取ることが前提になっています。

この形はカフェに誘うときも同じです。日時・場所・所要時間・用件の4点が入っていれば、相手は読んだその場で判断できます。逆にどれか1つでも抜けると、相手が自分で補って考える作業が発生し、それが返事を遅らせます。

そのまま送れる文例を2本

①相手の会社に伺う版

先日はお時間をいただきありがとうございました。〇〇の件、こちらで検討した内容をお持ちしたく、次のどちらかで30分ほどお伺いできませんか。 ・8月20日(木)14時〜 ・8月21日(金)10時〜 難しければ日を改めますので、遠慮なくおっしゃってください。

②近くのカフェ版

先日いただいた宿題について、こちらでまとめたものをお持ちしたいのですが、次のどちらかで30分ほどお時間いただけませんか。場所は〇〇駅近くの喫茶店を考えています。 ・8月20日(木)15時〜 ・8月22日(土)11時〜 難しければ日を改めますので、遠慮なくおっしゃってください。

どちらも候補日は2つまでです。3つ以上並べると、相手にとって「選ぶ作業」に変わり、かえって返事が遅れます。

断り代を一文入れる

「難しければ日を改めます」は逃げの言葉ではありません。相手が断りやすいぶん、実は返事が早く返ってきます。

一方でNG例は「いつでも合わせます」です。一見親切に見えますが、日時も場所も所要時間も全部相手に決めさせる言い方で、実はここが一番返事を止めます。決める作業をどちらが持つか、が返事の速さを分けます。


カフェで崩れるのは席と時間——20分前と「奥の角」

20分前に着いて席を取る

カフェを使う日の段取りは、文面よりも当日の動きで差が出ます。目安として20分前には到着し、相手も座れるテーブルを確保しておきます。可能な限り、カフェの「奥」の「角」、資料も広げられる「広い」テーブルの「禁煙席」を押さえるのが基本です。

手順にすると次の3つです。店に着く、席を取る、相手に「〇〇の席にいます」と一言送る。この最後の一言があるだけで、相手は店に入ってすぐ迷わず座れます。入口で店内を見回して探す時間がなくなるだけで、相手が感じる「案内された感覚」は変わります。

静かすぎる店はむしろ危ない

「静かな店の方が話しやすい」と思われがちですが、逆です。静かすぎると自分たちの話し声が周りによく響き、情報漏洩のリスクが高まります。少し生活音がある店の、奥の角の席。これが現実的な解になります。

席が取れなかったときの2手目を決めておく

繁忙時間帯は、狙った席が埋まっていることもあります。ここで慌てないために、第2候補の店を事前に1つ調べておきます。取れなければ、相手が着く前に連絡して店を差し替えます。

NG例は、相手を待たせながら店内をうろうろ歩き回って席を探すことです。相手が先に着いてしまうと、探している姿を見られ、段取りの粗さが伝わります。2手目を先に決めておけば、この場面は起きません。

当日の流れをまとめると、20分前到着→奥の角の席を確保→相手に一言送る→席が取れなければ第2候補へ即切り替え、の4手です。この4手を先に決めておくだけで、店に着いてから考えることがなくなります。


会計は誘った側が持つ。ここで貸し借りを作らない

原則はシンプル

商談終了後、カフェでの飲食代・打ち合わせ代は営業側が支払うのが通例です。商談をセッティングした側、つまり呼び出した側が支払うという考え方も同じです。2回目の場所を決めたのが自分なら、会計も自分が持つ側になります。

会計で会話を止めない段取り

会計そのものより、会計の場面で会話が止まることの方が印象に残ります。段取りにしておくとスムーズです。席を立つ前に伝票を自分の側に置く、相手より先にレジへ動く、「こちらで持ちます、お時間いただいたので」の一言を添える。この3つで十分です。

長い押し問答はしません。相手が強く出すと言ったら一度で引き下がり、次回に回します。ここで粘ると、かえって相手に気を遣わせます。

数百円で対等さを崩さない

割り勘にするか迷って会計の前から気が散るくらいなら、最初から自分が持つと決めておく方が楽です。切り出せない型に近い読者ほど、「払わせてしまった」という感覚が次の連絡を止める材料になりがちです。数百円のやりとりより、次に会う約束の方が大事だと考えれば、迷う場面ではありません。


相手の会社に伺う日と、貸し会議室を借りる日

訪問は5分前

相手の会社に伺う日は、訪問先(受付)には約束の5分前くらいに到着するのが基本です。早く着きすぎるのも良くありません。早すぎる到着は相手の準備を崩すので、近くで時間を潰してから受付に向かいます。

手順にすると、建物には少し早めに着き、受付には5分前に向かう、という2段階です。

人数を勝手に増やさない

同行者がいる場合は、アポの時点で「上司の〇〇と私の2名で」のように名前と人数を先に伝えて了解を取ります。

NG例は、当日いきなり2人で現れることです。相手は会議室の広さも、話す相手の想定も変えないといけなくなります。人数は場所選びの前提そのものなので、決まった時点で早めに伝えます。

貸し会議室は「どちらの陣地でもない場所」として使う

金額や条件を詰める日、あるいは相手の社内で話しづらい事情がある日は、貸し会議室が向きます。防音性とセキュリティが確保でき、駅からのアクセスがいい場所を選べば、双方の移動負担を減らせます。

使う場合は、予約者・支払い方法・入室方法を前日までに相手へ共有しておきます。当日その場で入り方を調べる、というのは避けたい段取りです。オートロックのビルだと入館証や内線番号が要る施設もあるため、「1階の案内板から〇号室」まで書いておくと相手を建物の入口で迷わせません。


2回目の終わり方が3回目を決める

回数を増やせば売れる、は半分だけ本当

接触回数と好意の関係を扱った心理学の考え方に、ザイオンス効果があります。この効果がはたらく可能性がある接触回数は、10回がピークと言われます。ただしこれは心理学の一般論であり、2回目の商談に限った数字ではありません。

用件のない訪問をただ重ねても、相手の時間を削るだけです。回数を増やせば好意が増える、という理屈をそのまま営業に当てはめるのは危うい、と正直に書いておきます。大事なのは回数より、毎回何を持っていくかです。

2回目は「聞くこと」を1つ決めて行く

持ち物を増やす必要はありません。1回目で相手が困っていた点を1つ選び、それだけを調べて持参します。残りの時間は聞くことに使います。

手順は、1回目のメモから相手が困っていた点を1つ選ぶ、それだけを調べて持っていく、残りは聞く時間に充てる、の3つです。準備を厚くするより、この1つに絞る方が、相手にとっては「ちゃんと覚えていてくれた」という印象になります。

帰り際の30秒で3回目の口実を作る

別れる前の一言が、次のアポの出しやすさを決めます。「次は〇〇をまとめて持ってきます、〇月上旬でいかがですか」まで、その場で口に出しておきます。

その場で日付が決まらなくても構いません。用件が残っていれば、次の連絡は「お願い」ではなく「約束の続き」になります。

NG例は「またご連絡します」で終わることです。用件が何も残っていないと、翌週にまた同じ文面の下書きを書いては消す状態に戻ってしまいます。

場所を先に決める、4点だけ書く、帰り際に次の用件を口に出す。この3つは別々の技術ではなく、同じ1つの考え方の言い換えです。決めることを自分の側に置いておけば、相手に判断させる場面が減り、返事も早くなります。2回目の終わり方が、3回目を出せるかどうかを決めます。

よくある質問

2回目のアポは1回目からどれくらい空けるのがいいですか?

日数の目安を示す確かなデータはないため、日数では決めません。1回目で出た話への返事が用意できた日に出します。用件が残っているうちに送るほど、誘いではなく約束の続きとして扱われます。

「また会いたい」と送ったのに返事が来ないのはなぜですか?

多くは断られたのではなく、決める作業が相手に丸ごと渡っている状態です。日時・場所・所要時間・用件の4点を入れ、候補日は2つまでに絞って出し直します。訪問なら目的と必要な時間、同行者の人数まで先に伝えます。

2回目はカフェと相手の会社、どちらがいいですか?

話す中身で決めます。金額の内訳や社内事情を出す日、相手側の人数が増える日は相手の会社か貸し会議室が向きます。貸し会議室は防音性とセキュリティが確保できます。不特定多数が出入りする場所は話の内容が周囲に聞かれるリスクがあります。

カフェでの打ち合わせ代は誰が払いますか?

誘った側が持ちます。商談後の飲食代・打ち合わせ代は営業側が支払うのが通例で、セッティングした側が支払うという考え方も同じです。席を立つ前に伝票を自分の側に置き、押し問答にしないのがコツです。

2回目は何を持っていけばいいですか?

資料を増やすより、1回目で相手が困っていた点への返事を1つ用意します。残りの時間は聞くことに使います。帰り際に次の用件を口に出しておくと、3回目の連絡が出しやすくなります。

参照した情報源

  1. ザイオンス効果とは?マーケティングへの応用と注意点、フリークエンシーとの関係を解説(株式会社Sprocket)・確認日 2026-08-17
  2. 知ってて当たり前!?カフェでの商談マナーをクイズ形式で解説(株式会社イノベーション(urumo))・確認日 2026-08-17
  3. 【社外】打ち合わせ場所の選び方と、知っておきたいマナー(ON the UMEDA)・確認日 2026-08-17
  4. 営業・商談で「会社訪問する際のマナー」(1)--アポ取りから受付での言い方まで(マイナビ(CANVAS))・確認日 2026-08-17
  5. 商談で貸し会議室を使う(TCフォーラム)・確認日 2026-08-17

本記事は、当編集部の制作基準——出典との照合・表現・重複の多段検証——を通過したものだけを公開しています(下書きにはAIを活用)。 仕組みの詳細は編集プロセスの開示をご覧ください。

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